第30章 He is a NOT boy. 〔大和守安定/R18〕
突っ伏したまま呆けていた雅は、しばらくして起き上がると眼鏡をまた掛ける。
「他の審神者は他の審神者、私は私でいくしかない…神様に恋心を抱くなんて、私の中では…」
ぼそりと呟き、散らばった紙を集めるとディスプレイを片付け仕事を終わりにし、雅は執務室を出てすぐ近くの自室へ戻った。
「おつかれぇ」
大和守が部屋へ戻ると加州が声を掛けてきた。
「うん」
返事をするものの何となく上の空な大和守に加州は肩に手をやり聞く。
「どうした?安定?」
「ん…あぁ…清光あのさ…」
「あ、いたいた」
大和守が加州に何か言おうとしたものの、堀川国広が彼らを探していたらしく、呼び止める。
「ごめん、手が空いていたら手伝ってもらって良いかな。歌仙さんが遠征に出ていて厨の人が足りなくて」
「あ…勿論、今行くよ」
「お願いします」
大和守が答えると、堀川は丁寧に頭を下げて厨へ戻って行く。
「安定、何か話しがあるんじゃないの?」
加州が問うものの、大和守は首を左右に振って「なんでもない」と答えた。