第30章 He is a NOT boy. 〔大和守安定/R18〕
「ヒトと同じ生活をしているし、ぼくたち感情も同じようにあるんだよ?」
「…そう言われてみると、そうだね…私の認識不足でした」
頭を素直に下げる雅に先程のいたずら心を思い出したように覗かせる。
「んじゃ、主にはぼくの言う事聞いてもらおうかな」
腕組みを解いた大和守はずい、と雅に顔を近付けると、雅は近付けられた顔に驚いてのけぞり、のけぞりすぎてそのまま後ろに倒れそうになる。
「あぶない」
大和守がとっさに手を出し倒れるのを助けると、雅は引っ張られすぎて大和守の胸にからだを預ける恰好となり、大和守も雅を抱き締める状況になってしまった。
「え…あ…ごめん…ありがとう…」
慌てて大和守から離れる雅と、手を即座に離す大和守は、互いに顔を赤くして目をそらせつつ礼を言う立場と言われる立場となった。
「え…と、今日の近侍の仕事は終わったから…おつかれさまでした…」
雅は深々と頭を下げ大和守に礼を言い、大和守も「それじゃ、部屋に戻るから…」と言葉を濁して審神者の部屋の襖を開けて部屋から出て行った。
一人になった雅は大きく息を吐き、眼鏡を外してテーブルに突っ伏した。
「もう…いったい今のは何だったの…」
そして、大和守に言われた事を思い出す。
「審神者と刀剣男士が恋仲…神様と人間が恋人同士なんて有り得ない…でも確かに演練に行くとやたらべったりな審神者と男士、居るんだよねぇ…あれってやっぱり恋人って事なのかなぁ…いやいや、彼等は神様なんだから、どんなに素敵でも大それた考えは持ってはいけないよね…だって神様に対して失礼だもの…」