第30章 He is a NOT boy. 〔大和守安定/R18〕
雅はあまりに恋愛沙汰にうとすぎる、と大和守は瞬時に気付く。
他の本丸では、女性審神者と男士が恋仲になるのはよくある事で、演練であきらかにそれとわかる組み合わせも多い。
この本丸も、何代か前の女性審神者と男士が恋仲になっていたのを大和守は覚えている。
それなのにこの実は美貌の審神者は、審神者になって何年も経つのに今迄それに全く気付いておらず、一体演練で何を見ているんだ、と大和守は改めて考えてしまった。
「主、今迄何を見てたの?」
これははっきり言っておこうと、大和守は少し口調を重くして言う。
「え…何を見ていたって…?」
突然態度を変えた大和守に、眼鏡の奥の目をぱちくりさせて驚く雅。
「演練行って、何を見ていたの?」
眉を寄せて問う大和守に、雅は「ええっと」と口ごもりながら答える。
「演練で見てるのって…自分や対戦相手の本丸の部隊の動きとか…あと陣形でしょ、作戦や戦法、それから使っている刀装…」
非常に真面目に演練をこなしているのはわかったが、それ以外の事はどうなのだろう。
「他には何も見てないの?」
大和守は更に突っ込むが、雅は困ったように顔を傾げて言う。
「ええと…これ以上に何かある?」
「あるよ」と大和守は大きくため息をつき、けれどもにっこり笑って雅に言った。
「でも、今は教えてあげない」