第30章 He is a NOT boy. 〔大和守安定/R18〕
「清光、そんな事、いちいち聞かなくていいよ」
加州の前であいまいな笑みを浮かべるのは大和守安定。
「たぶん、あの主の事だから、ぼくや清光の事を弟だ、とか言ったんじゃない?」
「あ、良くわかったね。だからしばらく俺を近侍にしろって脅しておいた…だからはい、近侍代わりにがんばってね」
「え?はい?」
目を丸くする大和守に、加州の表情はいたずらっこのような笑みを浮かべる。
「何って近侍だよ?主に側に一日いられる仕事だよ。譲ってあげるからがんばって」
「いや、だから、どうして、ぼくが代わりに…どこか具合悪いの?」
有らぬ心配までされる加州だが、大和守にはっきり言う。
「俺は何ともない。安定こそ少しでも主に良いところ、見せてきなよ」
「う…うるさいよ、清光」
途端状況を理解し赤くなる安定に、加州はにこにこする。
「主もかっこいい安定を見たら、弟なんて思わなくなるよ?」
「だからっ、そうやってぼくに変な重圧かけるのやめてよ」
大和守が加州に文句を言うものの、結局近侍を引き受け審神者の部屋へ向かった。
「失礼します、大和守安定です」
襖を開けながら大和守が声を掛けると、既に審神者としての仕事を始めていた主が、「加州はどうしたの?」と驚いた様子で大和守に聞き、大和守は「今日は賭けに負けて代理で来ました」と適当な言い訳をする羽目になる。