第29章 Happy Halloween ! 〔伊達組〕
そしていつもの日常が戻る。
「貞ちゃん、万屋まで買い物に付き合ってくれるかな?」
燭台切が部屋を覗いて声を掛けるものの、肝心の太鼓鐘は不在だった。
「あれ?貞ちゃん、今日は内番だったっけ?」
部屋に居る大倶利伽羅に聞くものの、大倶利伽羅は首を左右に振ってひとこと答えるだけだった。
「あいつは今日は休みだ。どこへ行ったのかは知らない」
「そっか…ありがとう。探してみるよ」
燭台切があちらこちらを訪問しつつ探すと、太鼓鐘は鶯丸のところでお茶を飲んでいた。
「貞ちゃん、探したよ」
「あ、みっちゃん、鶯丸さんにお茶を淹れてもらったんだ。美味いよ、みっちゃんも飲ませてもらいなよ」
太鼓鐘の満面の笑みに鶯丸も既に茶を淹れる準備をし出している。
「燭台切、遠慮するな、飲んでいくといい」
「ほら、こう言ってくれてるし、みっちゃん、ここ座って」
ぱんぱんと隣を叩いて指定してくる太鼓鐘に、燭台切は「じゃあ失礼します」と太鼓鐘と一緒にお茶を淹れてもらう事になる。
「鶯丸特製でもないいつもの茶葉だけど、堪能してくれたまえ」
お茶と茶菓子を目の前におかれ、燭台切は「いただきます」と言って茶碗を手にして美味しさに「ほぅ」とため息をついた。