第29章 Happy Halloween ! 〔伊達組〕
そして、太鼓鐘が迎えに行った本丸の入口まで五振りで歩いて行く。
「やはり…ここの審神者の霊力は心地よいな」
大倶利伽羅が感心したように歩きながら言った。
「また浴びたくなったら来るといいぜ。なんたって互いの連絡先は交換したからな」
鶴丸はぽん、と端末を軽く叩く。
「そういえばそうだな、うちの本丸へも来たくなったら知らせておくれよ」
向こうの鶴丸も端末を目の前に突き出して言う。
「じゃあ、演練で会えたら会おう」
「万屋でも会うかもしれないよ?」
「元気で」
そして鶴丸と大倶利伽羅は入口を出て、本丸の結界を出たのか姿がすぐ見えなくなった。
「…行っちゃった。結構楽しかったんだけどさ」
太鼓鐘が名残惜しそうにぽつりと口に昇らせた言葉に、大倶利伽羅がぽんと太鼓鐘の頭に手を置いて言った。
「折られてもう会えない訳ではなく、また何かの折りに会えるだろう」
「そうそう、伽羅坊の言う通りだぜ?それに貞坊は、そんなに驚きが欲しいのか?」
「いや、そういう訳じゃなくてさ」
慌てて言い訳をする太鼓鐘に、鶴丸はわかっているとばかりにうんうんと頷き、「わかってるさ、わざと言っただけだぜ」と言い、太鼓鐘が「鶴さんは相変わらずだな」と苦笑しつつ三振りは本丸の中へ戻って行った。