第29章 Happy Halloween ! 〔伊達組〕
何事かと全員で鶴丸を見やると、喉を押さえて鶴丸が転げまわる。
「み…み、ず…くれぇ…」
大倶利伽羅がすぐ鶴丸を抱えてコップの水を渡すと、ものすごい勢いで水を流し込み、そしてぜぃぜぃと息を荒く吐き、しばらくしてようやく鶴丸が口を開く。
「なんだ、このプリンは…驚かせすぎだぜ…辛い…辛すぎる…」
「辛い?」
何故甘いはずのプリンが辛いのだろう、しかし太鼓鐘が後ろを向いて、肩をぶるぶると震わせて笑っているのがわかった。
「貞坊、彼に何をした?」
向こうの鶴丸が笑っているらしい太鼓鐘に声を掛けると、太鼓鐘は笑いをこらえたままゆっくりと振り向き説明した。
「実はプリンを作っていたら、粟田口がやって来て、乱と包丁にいたずらした鶴さんに仕返ししたい、となってさ、彼等が鶴さんのプリンに七味唐辛子を大量に仕込んでいったんだ」
「…仕返しかぁ…まさかな…驚きだぜぇ…伽羅坊、水をもう一杯くれ…」
ちからなく鶴丸が大倶利伽羅に水を求め、大倶利伽羅は水を注いでコップを渡した。
「おお、ありがとう…」
また水を流し込む鶴丸は、口の中の熱が少しは引いたのか、少し口調を戻らせる。
「ああ…口の中が熱い…火が吹けそうだな…本当に火が吹けたら、驚かせてくるんだが…」
「やめておけ、また一期一振に怒られるぞ」
間髪入れずに大倶利伽羅に注意される鶴丸に、とうとう全員が笑い出した。