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刀剣純情伝 《刀剣乱舞/短編集/R18》

第29章 Happy Halloween ! 〔伊達組〕


乱が首を傾げて言う。

「そういえば鶴丸さん、時間遡行軍の短刀を首に巻いてなかった?」

「ああ、あいつ、迎えが来たから帰ったよ」

鶴丸がごく普通に返事をすると、乱は残念そうな表情を見せる。

「えー、そうなんだ。さっきは驚いちゃったんだけど、あの子可愛かったよね」

「お、そう思ったか?そうなんだ、懐いてすごく可愛かったんだぜ」

鶴丸が身を乗り出して言うが、平野がそれ以上時間遡行軍の短刀の話しはさせずに、自分たちが来た理由をさらりと一言口にする。

「トリック・オア・トリート、です」

思い出したように全員が両手のひらを前に出してくる。

「…は?」

短刀たちから両手のひらを出された四振りはぽかんとするものの、大倶利伽羅が気付く。

「…あぁ、菓子を寄越さないといたずらするぞってやつか」

「そう、それです。ぼくにはいっぱいくださいね」

にこにこしながら先程倒れた包丁が、驚かせたんだからいっぱいちょうだい、とねだってきて、四振りはとりあえず部屋にあった菓子を掻き集め、それを分配して短刀たちに配った。

「光坊と貞坊がかぼちゃプリンとやらを作ってるから、後はそっちからもらうと良いぜ」

鶴丸が言うと、全員で「ぷりん!」と叫んで厨に突進して行った。

短刀たちを見送ると「はー、やれやれ」と四振りはパワフルな短刀たちの様子に疲れた顔を見せ、内心一期一振の兄として全員をまとめているのが尊敬に値すると思うのだった。
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