第29章 Happy Halloween ! 〔伊達組〕
「驚きが使えないとなると何をするんだい?」
鶴丸が肩をすくめると、太鼓鐘が鶴丸の両肩をぽんぽんと叩きながら言う。
「驚きは止めて、正統派でシーツでも被ってお化けの真似でもしようよ」
「…待て、それは山姥切ではないか?」
大倶利伽羅の突っ込みに、全員その姿を想像して吹き出す。
「伽羅坊…言うな…ぶははっ」
鶴丸が笑いながら言い、向こうの大倶利伽羅までもが後ろを向いて肩を震わせる。
「いっそのことコスプレ…」
太鼓鐘が再度発言するものの、「その衣装は誰が用意する?」で取りやめになり、だったら衣装を交換したらどうかとなった。
「体格が違うから合わないだろう?特に光坊は身長もあるし」
鶴丸が珍しく当たり前の事を言って、喧々諤々(けんけんがくがく)となり、結局もう見た目は何もしない事とする。
「そういえば、ぼく、かぼちゃプリンを作る約束をしていたんだ。ちょっと作りに行ってくるよ」
燭台切が思い出したように言い、太鼓鐘が手伝うと一緒に厨へ行ってしまう。
四振りが残り、さて、どうするかとなるが、そこへわらわらと粟田口の短刀たちが部屋へやってくる。
「あれー鶴丸さんと大倶利伽羅さんが二振りずつ、いる?」
「一振りは、近くの本丸から遊びに来てる鶴丸さんと大倶利伽羅さんだ、って主さんが言ってたよ?」