第29章 Happy Halloween ! 〔伊達組〕
「えー、包丁ずるいー、主さん、ぼくも良いですか?」
乱も審神者におねだりをし、審神者は同様に乱にも答え、乱も「わーい」と喜んでいた。
「主殿、弟たちが勝手を申して申し訳ございませぬ」
一期が慌てて審神者に向かって頭を下げるが、審神者は扇子を閉じそれを一期へ向けてひらりと振る。
「構わぬ、気にするでない」
そして審神者は六振りへ言う。
「おぬしら、いたずらも過ぎるといろいろな災いも運んでくるからの、今後は気を付けよ」
「は…はい…」
燭台切が六振りを代表して答えると、審神者は立ち上がり自分の御簾の中を移動して襖を開けつつ、六振りへ向かって言葉を掛ける。
「鶴丸国永と大倶利伽羅。あちらの本丸の審神者殿には、おぬしらが来ておる事は伝えておこう。ゆるりと滞在してゆくが良い。燭台切らもそちらの二振りをもてなせ」
「はいっ」
審神者はその部屋を出て行き、残った刀剣たちは「ふぅ…」と正座を崩して脱力する。
「どんだけ怒鳴られるかと思ったが…ここの審神者は穏やかだな」
向こうの鶴丸がにぃと笑みを浮かべて言うと、こちらの鶴丸も同じ笑みを浮かべる。
「そうだろ、良い主だぜ」
「ぼくたちできみたちをもてなして、一緒にハロウィンを楽しんでもらわないとね」
燭台切が早速審神者に命じられた事を行動に移そうとした。