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刀剣純情伝 《刀剣乱舞/短編集/R18》

第29章 Happy Halloween ! 〔伊達組〕


六振りも驚き「すまん」「悪かった」と口走るのを見て、険しい表情を崩さない一期に、審神者がようやく口を開いた。

「一期一振、そこまで。十分彼等には驚きになったであろう」

「え…」「は…」途端目を丸くして、何が起きたのか理解が出来ていない六振りと包丁と乱の前で、一期は表情を緩めて刀をかちりと鞘へ納めた。

「主殿には敵いませんな」

「おぬしら驚きすぎよのぅ。一期はハロウィンの驚きを、おぬしらに与えただけよ」

からからと扇子を広げ、口元を覆い隠しながら審神者が笑い、一期もくすくすと笑う。

「すみません、弟たちを驚かされたのが癪でしたので、お返しさせていただきました」

「あ…なぁんだ、いち兄、本当に乱心したのかと思ってびっくりしちゃった」

乱が大きく息を吐きながら、驚いたと胸を撫でおろす。

「俺も驚いたぞ。主さんが人妻だったら驚いて抱き着いていたぞ」

包丁の言葉に反対に一期が慌てる。

「何を言ってるのです、包丁。主殿に迷惑のかかるような発言はおよしなさい」

「えー、どうして?主さん、だめ」

包丁の甘える態度に審神者が笑う。

「おぬしの好きな人妻でないぞ?それでも良ければ来るが良い」

「わーい、やったぁ」

このやり取りにぽかんとして見ている六振りだったが、ようやく燭台切が「成程…一期くんに謀られたということか…」と呟いてようやく状況を理解していた。
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