第29章 Happy Halloween ! 〔伊達組〕
その言葉に審神者の前に座る六振りが固まる。
「やば…一期か…ある意味やっかいな相手だな…」
「こっちの本丸の一期は、弟愛が尋常じゃないんだよなぁ」
「それはこっちも同じだよ」
「早く帰るか」
「あ、そっちの伽羅ちゃん、ずるい」
「みんなで謝りに行こうぜぃ」
全員で好き勝手な事を言い、それを聞いていた審神者が扇子を広げ小さく笑う。
「おおごとを考えておきながら、一期一振への対応にこれだけ悩まされるとは、おぬしたち爪が甘いのだか甘くないのだか…参れ」
誰に向かって『参れ』と言ったのかわからない六振りが一斉に審神者を見ると、審神者はぱちりぱちりと扇子を開いたり閉じたりしながら言う。
「おぬしたちが今一番会いたくない男士かのぅ」
「失礼します、入ってもよろしいですかな」
同時に廊下から声がし、そのしゃべりかたで誰が来たか気付く六振り。
「げ、よりによって一期、来た」
逃げようと中腰になる六振りの前に、襖を開けて一期一振が青い髪を揺らし、包丁と乱を連れて入ってきた。
その三振りの姿を見て六振りは諦めたようにその場に座り込み、入ってきた一期と乱と包丁は、その六振りの姿に目を丸くした。