第29章 Happy Halloween ! 〔伊達組〕
乱が先へ行ってすぐ、乱の「え…?あれ?あれ?」と困惑する声が聞こえてきた。
抜かしたはずの鶴丸と大倶利伽羅にまた会ったのだから当然だろう。
驚いている様子を思い浮かべながら二振りがそちらに向かうと、乱は案の定大きな目を更に見開いてこちらに気付き、「え…え…えぇぇぇぇ…」と小さく叫ぶ。
おまけに鶴丸の一振りは、動くなと言われた時間遡行軍の短刀が、ぬいぐるみのように首に巻きついているのだから、理解不能となった乱はパニックを起こす。
「ちょ…え…なに…はぁ…えぇ…あの…ふぁぁ…」
何を言っているのかもはやわからない状況の中、やっぱり短刀が動いて「ふしゅっ」と言ったものだから、乱はそのまま意識を放して倒れてしまった。
「ありゃ、乱もだめだったか」
鶴丸は倒れた乱を抱きかかえつつ言う。
「やっぱり大丈夫そうなのは薬研と…厚くらいか…?」
大倶利伽羅も自分のあごに手をやり、無表情のまま眉を寄せて考える。
「とにかく乱も布団に寝かせよう」
もう一振りの鶴丸が言い、包丁と毛利に続き乱も布団へ寝かせる事になってしまった事に、思った以上に刺激が強いのか、と四振りはやはり考え出す。
そこへ。
滅多に鳴る事の無い、本丸の危機を知らせるサイレンが鳴り響く。
「なっ…なんだ…!」
ばたばたと襖が開き、複数の足音が広間へ走る音が聞こえてきた。