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刀剣純情伝 《刀剣乱舞/短編集/R18》

第29章 Happy Halloween ! 〔伊達組〕


「…ううむ、そうするか…薬研あたりは反対に大喜びしそうな気がするんだがな…」

好奇心の固まりのような、粟田口の大きい短刀たちの姿をそれぞれ思い浮かべ、それぞれが驚くどころか喜びそうな状況を作っていることに、『やっぱりどうなんだ』と頭を抱える。

「…考えてもしかたない。とりあえず試してみるか」

鶴丸の声にまた四振りは元の位置へ移動し、こちらの鶴丸は首に巻いた時間遡行軍の短刀に「動くなよ?」と念押しし、短刀は「ふしゅっ」と目を細めながらぱしんと尻尾のような部分を振り回した。

「あああ、おまえ、可愛いなぁ」

その姿にすっかりとりこになっている鶴丸は、短刀をすりすりと撫でてやり、短刀も「ふしゅふしゅ」と喜んでいた。



「おい、乱が来たぞ」

大倶利伽羅の声で鶴丸は我に返り、確かに乱がスキップしそうな勢いでこちらにやってくるのが見える。

「よし、開始だ」

包丁や毛利藤四郎にしたのと同じように、向こうの鶴丸とこちらの大倶利伽羅が歩き出し、二振りに気付いた乱が「おはようございまーす」と挨拶してきた。

「ああ、おはよう。今日も可愛いな」

向こうの鶴丸がにっこり笑みを浮かべて話し掛け、乱は「ほんと?ぼく、可愛い?」と聞き直し、鶴丸が「ああ、いつも以上に可愛いな」と更に言い、乱はすっかり浮かれて「ぼく、先に行くね!」とスキップしながら廊下を先へ進んでいった。

「…罪作りだな」

先で待つ二振りに合図を送りながら、大倶利伽羅が向こうの鶴丸へ嫌味のように呟いた。
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