第29章 Happy Halloween !　〔伊達組〕

「あー、やっちまった」

倒れる毛利をこちらの大倶利伽羅が受け止めるのを見て、向こうの鶴丸が片手で顔を覆う。

「短刀、動いちゃ駄目だ、と言っただろう」

ぎらりと向こうの大倶利伽羅が、鶴丸の首に巻き着く時間遡行軍の短刀を睨むと、短刀は「ふしゅーん」と小さくなってしょぼくれる。

「まぁ落ち着け、この短刀のせいだけじゃない。今の様子からみて、どうみても俺たち四振りが集まった事に驚いていただろう？」

こちらの鶴丸が大倶利伽羅に落ち着かせるように言うと、小さく「ちっ」と舌打ちするものの自分の本丸でないところでケンカをする訳にはゆかず、大倶利伽羅がそれ以上何も言う事はなかった。

「さ、包丁の隣に寝かせてやってくれ」

毛利を先程の部屋へ連れて行き、布団を敷いて包丁の隣に寝かせる。

包丁は枕を抱きかかえ「ひとづまー」と何やら寝言を呟いていて、それを聞いた鶴丸が吹き出す。

「まだ幼い姿なのに、人妻好きなんてどんだけエロいんだか」

「…そういうものを求めているわけでは無いと思うが」

大倶利伽羅が真面目に訂正を入れる。

「それにしても粟田口の短刀たちには刺激が強いのか？俺たちが四振り囲むというのは？驚くだけで済むと思っていたのだが、こうも気絶までされてしまうと考えてしまうな」

向こうの鶴丸がううむ、と腕を組み、こちらの鶴丸がでは、と変更案を出す。

「んじゃ、粟田口の小さい短刀から、大きい短刀たちにターゲットを変えるか」