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刀剣純情伝 《刀剣乱舞/短編集/R18》

第29章 Happy Halloween ! 〔伊達組〕


「ちょっと待ってくれ、こいつは悪さはしない。今、説明する」

向こうの鶴丸が説明する内容はこうだった。



-向こうの本丸からこちらの本丸へ来る途中、どこかの部隊にやられて完全に倒されておらず、弱りきって今にも消えそうな時間遡行軍の大太刀を見付けた。

-その消えかかった大太刀が、背中に隠していた遡行軍の短刀を何故か鶴丸と大倶利伽羅に託して消えた。

-遡行軍の短刀の中でも更に小さい短刀の姿に、この二振りは放っておけず、やむを得ず連れてきた。



「確かによく見る遡行軍の短刀に比べると小さいな」

大倶利伽羅が、向こうの鶴丸が手にする短刀をまじまじと見ると、短刀は怯えて小さくなって鶴丸にすり寄っていく。

「か…可愛いな、そいつ」

その様子にこちらの鶴丸がぱあっと顔を輝かせる。

「触っても大丈夫か?」

「優しく撫でてやってくれ」

鶴丸同士で遡行軍の短刀を撫でる姿はシュールだったが、短刀は静かに撫でられ嬉しいのか大きな目をくりくりと動かし、「ふしゅーん」とからだの後ろの尻尾のような部分をはたはたと振った。

「喜んでいるのか?やぁ、可愛いなぁ」

「へぇ、懐いてる。短刀は短刀でも、生まれたての西洋の果物ナイフって感じだよな」

横から太鼓鐘も覗き込んで、撫でられ喜ぶ遡行軍の短刀を、目を丸くして見ていた。
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