第29章 Happy Halloween ! 〔伊達組〕
それは、別本丸の鶴丸からすぐ近くまで来た事を知らせる通達だった。
「よし、外へ出て待っているか」
鶴丸が立ち上がるものの、外からこの部屋へ二振りを連れてくる間に、鶴丸と大倶利伽羅の複数の姿を見られたらまずいので、太鼓鐘だけが迎えに行く事になる。
「じゃ、迎えてくるぜっ」
襖を開けて、たたっと軽く廊下を走る音がして、太鼓鐘が外へ向かった。
しばらくして複数の足音がし、襖がからりと開き太鼓鐘が鶴丸と大倶利伽羅を連れて部屋へ入ってきた。
「やぁ、やはり同じ顔が並ぶと驚きだな」
こちらの鶴丸がそうは言うのものの、あまり驚きもしない様子で言うと、相手の大倶利伽羅が口を開く。
「よろしく頼む」
ふと、鶴丸の手に風呂敷包みがあり、太鼓鐘は聞く。
「鶴丸さん、それ、何?着ぐるみかなにか持ってきたの?」
「ああ、これ?」
太鼓鐘に聞かれ、相手の鶴丸が風呂敷包みを開くと、そこには時間遡行軍の短刀がひょっこり出てきた。
「時間遡行軍…!」
こちらの大倶利伽羅がばっと飛び退り、すぐ自身の本体を顕現させると抜刀する。
すると、向こうの鶴丸が慌てて風呂敷包みを後ろ手に隠しながら言った。