第29章 Happy Halloween ! 〔伊達組〕
嬉しそうに菓子の包装を外す鶴丸に、大倶利伽羅も呆れたように言う。
「俺も光忠を怒らせたくない」
同時にぱくりと鶴丸は菓子を口に入れ、「美味い、さすが古備前の選ぶ菓子は違う」と一人でのたまっていた。
「それでさー例の本丸の鶴丸さんと伽羅さんが来るんだろ?いつくらいに来るのかなー」
太鼓鐘がハロウィンの例の件を持ち出す。
「内番姿か戦闘姿のどっちで来るんだろうな。それに合わせてこっちも着替えないとな」
鶴丸が咀嚼しながら話す。
「まさかと思うけど、うさぎのかぶりものできたりしないよなぁ?鶴丸さんが白うさぎで、伽羅さんが黒うさぎとか…」
太鼓鐘がとんでもない事を口走り、それを想像した鶴丸が爆笑し、大倶利伽羅は苦虫を潰したような表情になった。
「ぶははは、それ、良いな。俺と伽羅坊で白黒うさぎか」
「俺はそれなら部屋から出ないからな」
大倶利伽羅はすとんとその場で座り込り、太鼓鐘が「冗談だよぅ」と急いでなだめる。
翌早朝、ピコンと鶴丸の端末が反応した。
この本丸は部屋毎に携帯電話のような端末を持っており、基本は審神者から直接連絡をする時に使っているものの、端末を持っている他本丸や端末同士で連絡も出来る便利な道具で、広い本丸で重宝していると人気の道具だった。
「おや?」
伊達部屋の本日の端末当番である鶴丸が、袂から端末を取り出して画面を見た。