第29章 Happy Halloween ! 〔伊達組〕
「食い意地はってるぜ」
太鼓鐘が笑いながら言うと、鶴丸も笑って答える。
「美味い茶と菓子、両方口に出来るなら、四振りで行くのが一石四鳥というものだろう」
「…一石二鳥だろう。間違って覚えるな」
大倶利伽羅がぼそりと訂正を入れるものの、鶴丸は全く気にしない。
「いいじゃあないか。二鳥でも三鳥でも四鳥でも。俺たちの四振りが効率よく行動出来るのは、一緒が一番だろう?」
そしてお盆へ手を伸ばして菓子を食べようとする鶴丸に、燭台切はぴしゃりと言う。
「鶴さん、お菓子はもうだめだよ。ぼくは厨に行くけれど食事の時間が近いからね。伽羅ちゃん、貞ちゃん、鶴さんにお菓子あげちゃ駄目だよ?」
「わかった」
「わかったよ、みっちゃん」
二振りから了解の返事をもらって、燭台切は食事を作りに厨へ行き、鶴丸はテーブルに顔を突っ伏した。
「なんだよぉ…二振りとも光坊の味方になってさ…俺の味方はいないじゃないか…」
鶴丸の頭を撫でながら太鼓鐘がにしし、と笑う。
「鶴丸さん、みっちゃん怒らせると怖いの知ってるだろ?俺、みっちゃん怒らせたくないから、みっちゃんの言う事を聞くぜ。でも、鶴丸さんも気の毒だから、一個だけあげる」
はい、と反対側の手から個装された菓子が渡されて、鶴丸はぱあっと顔をほころばせる。
「やぁ、ありがとう、貞坊。やっぱり貞坊はいいこだなぁ。伽羅坊、この事秘密だぞ」