第29章 Happy Halloween ! 〔伊達組〕
「歌仙くん…ぼく、本当にはしゃいでしまってかっこ悪いよ…」
恥ずかしがる燭台切に、歌仙は笑ったまま言う。
「どうして、良いじゃないか。いつもきみは真面目にこの大人数の本丸を一番に考え、どうしたらうまく回せるか、考えているだろう?演練で興味深い陣形を動かした相手がいたら、今後のために話しを聞きたくなるのも当然だよ。むしろきみは良い勉強が出来たんじゃないか?」
本当は相手の本丸の鶴丸が主に画策して、本丸で驚かせるハロウィンの仕掛けを考えた、なんて言うにも言えず、歌仙の言葉を都合よくとらえ、燭台切は「うん、そうなんだ」と誤魔化した。
「さ、買い物の品を片付けたら、手伝っておくれよ?堀川くんが遠征に行っているから、ぼく一人ではここがうまく回らないんだ」
歌仙が表情を切り替えて言うと、燭台切も「うん、すぐ手伝うよ」と一度着替えに部屋へ戻って行った。
『さて、鶴さんと伽羅ちゃんに頼まないとな…』
廊下を歩きながら燭台切は、鶴丸の考えた内容を思い起こす。
部屋の前に来ると「ぼくだよ、開けても大丈夫かな」と声を掛け、襖をからりと開けた。
鶴丸、大倶利伽羅、燭台切、太鼓鐘の四振りが使う部屋は四振りで使うには十分広く、燭台切の性格で綺麗に整えられている。
中央にちゃぶ台を大きくした座卓用テーブルが置いてあり、大倶利伽羅はあぐらをかいて雑誌を見ており、鶴丸はテーブルに置かれた皿の中のせんべいを割って、ぼりぼり食べていた。
「お、きゃいもにょ、おわっちゃのきゃ?」
買い物終わったのか、と鶴丸がせんべいを口に入れた状態で、部屋に入ってきた燭台切に話し掛ける。