第29章 Happy Halloween ! 〔伊達組〕
「歌仙くん、遅くなってごめんね」
厨に顔を出しながら燭台切は歌仙に謝ると、歌仙は野菜の皮を剥いていた手を止めて、燭台切を見た。
「帰りが遅くなるなんて珍しいね」
「うん、実は万屋でね…」
燭台切は、演練で良い戦いをした相手を見掛け、一緒にその作戦と戦い方について話しをしていた、と説明する。
「へぇ、きみがそんなに褒めるなんて、相当洗練された戦い方だったんだね」
歌仙は野菜の皮を剥きながら、燭台切の話しを聞く。
燭台切は買ったものを袋から出しながら、大倶利伽羅が立てたその作戦について歌仙に話すと、歌仙はしばらくしてくすりと笑う。
「えっ、何っ、ぼく、何かおかしな事、言ったかな」
野菜を切りながら笑う歌仙に、燭台切は焦った様子を見せるものの、歌仙は穏やかな表情で燭台切を見た。
「余程その大倶利伽羅との話しが弾んだんだね。とても楽しそうだ」
「あ…うん、有意義な時間だったよ…ってこんなにはしゃいで、かっこ悪いな」
恥ずかしそうに言う燭台切に、歌仙はくすくす笑う。
「いや、きみもそういう可愛らしいところがあるんだな、と思っただけだから気にしないでくれ」
歌仙の言葉に燭台切は目を丸くすると、歌仙は更にはははと笑い出し、燭台切は顔を赤くして片手で自分の顔を覆った。