第29章 Happy Halloween ! 〔伊達組〕
「歌仙くんを待たせちゃったか。急いで買ったものを渡しに行こう」
燭台切は急いで買ったものを厨へ運んで行った。
「俺、何か手伝うこと、ある?」
「俺たちのほうはそうでもないから、他の刀に聞いてもらっていいかな?」
太鼓鐘が声を掛けると、大和守が飾り付けていた手をとめて、太鼓鐘のほうを見て言う。
「ん、わかった」
飾り付ける二振りの間をすり抜けて奥へ行こうとした太鼓鐘に、鋭く加州が言う。
「あ。ストロベリーアイス、食べたでしょ」
「えっ!?」
「通り過ぎる時、一瞬匂ったよ」
「わは。見なかった事にしておいて」
苦笑しながら太鼓鐘は通り抜け、奥へ小走りで去った。
太鼓鐘の去る背中を見ながら、加州はちょっと首をかしげて言う。
「なんか微妙にいつもと反応が違う気がする」
「そう?いつもと同じだと思うけど」
その言葉に大和守は答え、すぐにそれは忘れたように飾り付けに没頭した。
太鼓鐘は他の刀の準備しているところへ声を掛け、主が印刷するかぼちゃのイラストを形通りに切って飾る、そんな作業を手伝う事になった。
そして、燭台切は、帰りが遅いと厨で待つ歌仙のところへ急いだ。