第29章 Happy Halloween ! 〔伊達組〕
「ほら、脱線しないの。それで、結論としてぼくたちはどうすれば良いの?」
ぽん、と軽く両手を叩いた燭台切に言われ、驚かす計画に戻る。
まず、鶴丸一振りではなく大倶利伽羅と二振りでこっちの本丸へ来たところで、自本丸の鶴丸と大倶利伽羅が知らん振りして本丸の中を適当に歩き、短刀たちに声を掛ける。
声を掛けて去った後、また同じ方向から、驚かしにきた鶴丸と大倶利伽羅が声を掛けて、短刀たちを惑わす。
去ったばかりの鶴丸と大倶利伽羅が、またすぐ目の前に現れるという事を繰り返し、最後は四振りで短刀を囲んで驚かす、という古典的な内容に、うまくいくか疑問だ、と太鼓鐘がまゆをしかめる。
「あれだよなーきっと騙されるのは、包丁とか前田とか平野とか小さい短刀に限るぜ?薬研なんて絶対四振りに囲まれたら、大喜びして何かしてきそうだ」
「あー、そうだよね。博多くんはきっとこの四振りをどこかの見世物に置いて、お金稼ぎを考え出しそうだよね」
今度は燭台切も脱線したので、大倶利伽羅が腕組みをしつつ「あんたまでも…」と軽く舌打ちした。
「ああ、ごめん、ごめん。自分が脱線しちゃったね。で、鶴さん、こんなんで本当に良いの?驚かすのが好きな鶴さんとしては、ずいぶんらしくないような、簡単さ、なんだけど?」
「ああ、そうなんだよな。本当は最後に何か仕掛けたいのだが…着ぐるみを考えたんだが俺と伽羅坊が二振り揃っているという状況が必要な以上、着ぐるみを着る必要が無いんだよな」
「…時間も無いだろう?」
大倶利伽羅も時間的にあれこれするのは難しい、と口を開く。
移動時間や驚かせる相手など制限がかなり多く、更に気付かれるとやっかいな男士もいる事で思ったよりこじんまりとした作戦になりそうだった。