第29章 Happy Halloween ! 〔伊達組〕
「そんな事ないぜ。俺とみっちゃんならそっちの本丸へちゃんと行かれるし」
燭台切がけんか腰になりそうな太鼓鐘の肩をやんわり押さえる。
「貞ちゃん、落ち着いて。ここにはけんかをしに来たんじゃないよ」
穏やかな金色の目に諭されて、太鼓鐘はおとなしくなる。
「…う、うん」
「鶴さんもあんまりうちの貞ちゃんを煽らないでくれるかな。本丸同士が嫌な関係になっても気まずいよね?」
燭台切の言葉に大倶利伽羅が頷き、鶴丸に盛大なげんこつを喰らわせた。
ごん
「…いてぇえええ。伽羅坊、手加減してくれよ」
頭を抱えてテーブルに沈むに鶴丸に、大倶利伽羅は容赦ない言葉を浴びせる。
「あんたがよその本丸の男士をからかうのが悪い。そういう事をするなら、あんたがここで考えたこと、長谷部にバラすからな」
「あ、それは止めて。長谷部に知られたら、俺、折られちゃうかもしれない」
頭を抱えながら、鶴丸はにっと笑って太鼓鐘と燭台切を見る。
「うちの本丸、長谷部がすげぇ怖いんだ。いたずらがばれたら、本体折られるぜ」
それを聞いて太鼓鐘は目をぱちくりさせる。
「へぇ、うちの長谷部さんはそこまで怖くは無いかな。主が仕事しなくてすぐ怠けるから、追い掛けて『主、仕事してください』って悲痛に叫んでいるけれど」
互いに違う長谷部の話しでいきなり盛り上がってしまった。