第29章 Happy Halloween ! 〔伊達組〕
「なぁなぁ、光坊、伽羅坊、ちょっと提案があるんだけどな」
鶴丸の表情がいたずらっぽい瞳に輝いているのに気付いた大倶利伽羅は、眉をひそめる。
「くだらない提案なら受け入れない」
小さく低い声で大倶利伽羅が言うと、鶴丸は口をとがらせる。
「やだなぁ、伽羅坊。俺がくだらない提案をした事あるかい?」
あるくせに、と言わんばかりの表情を、大倶利伽羅が見せたのを太鼓鐘は察知する。
どうもそちらの本丸の鶴丸は、なかなかのいたずら好きのようだな、と燭台切も気付く。
「鶴さん、何をしたいんだい?」
違う本丸だから実害は無いと踏んだ燭台切が聞くと、鶴丸はとんでも無い事を提案してきた。
「どうせきみたちの本丸でもかぼちゃのお化けの遊びをするんだろう?俺たちのところもそうだ。だから、俺がきみたちの本丸に行って、鶴丸国永が二振りいるって驚かしてやるのはどうだ?そしてきみたちのどちらかが俺たちの本丸に来て、やっぱり二振りいるって驚かせるんだ」
確かにこちらの本丸に、鶴丸国永という男士は一振りしかいないから、二振りいたら本丸全体で驚きに包まれるのは絶対だ。
でも、と燭台切は思う。
『鶴さんのようなレア刀が二振りいたら、顕現出来たのかと誤解されるんじゃないかな…』
そういった事は考えず、にこにこしながら太鼓鐘に話し掛ける鶴丸の様子を探るが、別に本丸荒らしをするような様子にも思えず、鶴丸の真意が掴めず下手に本丸に来てもらうのも考えものだった。
その燭台切の考えに気付いたのか、鶴丸は口を開いた。