第29章 Happy Halloween ! 〔伊達組〕
「きみは先日、演練で戦った伽羅ちゃんじゃないか…!」
「そういうあんたは燭台切。俺はあんたの大倶利伽羅ではないから、狎れ合わないでくれ」
そっけない態度の他本丸の大倶利伽羅に、それでも嬉しそうに燭台切は話し掛ける。
「もう一度きみには会いたかったんだ。あの演練の時のフォーメーション、後であれはきみが考えたと聞いてね、どういうところから思いついたのか、是非教えてもらいたいと思っていたんだ」
少し前に燭台切とこの大倶利伽羅の所属する本丸の部隊が演練で対戦し、その時大倶利伽羅の所属する部隊の戦い方が良かった、と燭台切が本丸に戻ってから主に伝え、褒めていたのを太鼓鐘は知っている。
それについてもっと聞きたいのだろう燭台切に、狎れ合う話しではない事を褒められた大倶利伽羅もまんざらでもない様子を見せ、結局買い物を終えて万屋の近くで腰を落ち着けて、二振りは戦い方について検討する事になった。
「貞ちゃん、悪いね。ちょっと時間もらって良いかな」
嬉しそうな燭台切に太鼓鐘はちょっと肩をすくめて言う。
「アイス買ってくれるなら良いぜ」
「ああ、勿論だよ」
あっさり了承され、太鼓鐘はストロベリーアイスを買ってもらい、何故か大倶利伽羅と一緒に来ていた鶴丸もバニラアイスを買ってもらい、二振りで並んで食べる事になった。
燭台切と大倶利伽羅は紙を用意して丸や線を書き込みながら、互いの戦い方法の見解を討論し出し、太鼓鐘と鶴丸はアイスを食べながらそれを見る、というなんとも珍妙な四振りが揃った。
「よぅ、貞坊、そのアイス美味しいかい?」
太鼓鐘が隣を見上げると、鶴丸がにっと笑いながら太鼓鐘のアイスを見ていた。