第27章 かくれんぼ 〔加州清光/R18〕
「暗くて見えてないと思ったら間違いだね。キスだけで蕩けそうな顔してる」
「そっ…そんな事…ない、よ…」
頬が赤くなるのを感じるけれど、見えてないと思っていたら、見えているみたい。
打刀だから暗闇は苦手と聞いているけれど、このくらいの光で更にこれだけの至近距離だから、私の顔が見えているんだ。
「ひゃっ」
加州くんが柔らかな手つきで、私のからだを上から下へゆっくりと撫でるから、私はつい変な声をあげてしまう。
「そんな声出したら、見つかっちゃうよ?」
加州くんの綺麗な顔が私に近寄り囁き、これから何が起きるのか、本当は気が付いている私は全身が震える。
「最近、雅ったら俺の事、構ってくれないよね」
外ではぱたぱたと短刀たちが廊下を走る音がするはずなのに、私の耳にはちょっとむくれたような加州くんの声だけが入る。
「そんな事…ないよ。近侍だって他の男士に比べて、多く頼んでるでしょう」
私が反論するけれど、加州くんは私の唇に人差し指をぴたりとまた当てる。
「言い訳はだーめ。俺の事、もっともっと愛して欲しいな」
加州くんの手が、唇からもう一度私の頬に触れ、小作りの顔が近付く。
燃えるような欲情を醸す、真剣な瞳に引きずられる。
そのままその手が私の後頭部へするすると動き、鼻が触れあう程に加州くんの顔が間近くなり、ちゅ、と軽く唇がくっついた。