第26章 小さな愛を育つ 〔山姥切国広〕
「だから、好きとか嫌いとか、まんばくんは気にしなくて良いよ。私の勝手な思いだから」
「そうではない」
俺はすかさず否定する。
「俺が主の相手になれるなら俺は嬉しい。だけど俺は主にあれこれ無理強いするつもりはないぞ」
俺の言葉に、あちこちうろうろとしていた主の目線が止まる。
一点だけをじっと見つめて、そのままの状態で言った。
「…無理に、その…しない…?」
「主が良いと言うまで俺は待つ」
俺の言葉の何がおかしかったのかわからないが、俺の発言を聞いた主は小さく笑い、そしてようやく俺を見た。
「まんばくん…貴方が好きです…私を待っていて欲しい…」
その真剣な主の目に、俺は嫌だとは言えない。
「あぁ…俺が主が抱けるのを待って欲しいと言う事か」
「やだ…そんなあからさまに言わないでよ…」
俺の言った事にぷいと横を向く主。
俺はつい可愛くて主に近寄り抱き締める。
「これくらいは許してくれるだろう?」
主は抵抗せず俺に抱き締められているが、そのからだからばくばくと早鐘のように鼓動を感じられた。