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刀剣純情伝 《刀剣乱舞/短編集/R18》

第26章 小さな愛を育つ 〔山姥切国広〕


「主…緊張しているのか?」

俺が声を掛けると、俺の胸に顔を埋めたまま主は小さく頷き、俺はそんな主が愛おしくてならなかった。

俺は益々ちからを入れて抱き締めながら言った。

「主、俺を選んでくれて俺は嬉しい」

ぴくりと小さく肩が動く。

「主が俺を求めるようになるまで俺は待つ」

それに応えるように主はまた小さく頷く。



主が少しずつ成長している。

自身に戸惑いながらも、俺を選んでくれた事に俺は内心喜ぶ。



そんな主を焦らせてはならない、と俺は思う。



主の心も成長し、俺を欲しいと望むようになってから、俺のものにしていこう。



ひとの成長は俺たちにはたったひととき。

だから数年なぞほんの一瞬。



主のまだ骨ばったからだを抱き締め、それがやがて柔らかな感触になるのを待つのも一興。



何より俺が嬉しかったのは。



主が俺を選んでくれた事で、俺の持つ偽物のレッテルが剥がれ、俺が俺でいられるのでないか、そう思えて俺は主の名を口にした。



「これからどの刀より愛そう…雅…」


<終>
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