第4章 片恋をいつか 〔薬研藤四郎〕
「大将、いち兄とヤったの?」
ばりん
せんべいの袋がすごい勢いでひきちぎれ、個装のせんべいが飛び散った。
「や、や、や、やげ…ん、あ、あ、あ、貴方、何て、ことを…!」
真っ赤になって慌てふためく大将に、何となくこれはヤッたなと察する。
「ねぇ、どっち?」
俺が更に突っ込むと、大将は立ち上がって俺の側に来て小声で言う。
「そんな事、どうでもなんでも言う訳ないでしょ!」
「ふぅん、じゃあヤッたんだ」
「どっ、どうしてそうなるのよ。それに薬研に関係ないでしょ」
慌てる大将に俺は途端、真剣な表情をした。
「俺は気になるな。大将といつかシたいからさ」
「え…は…え…えぇ…」
これ以上どうすれば赤くなるんだって程に赤くなった大将。
ああ、そうだ、この気持ち。
俺は大将とおとなの関係ってやつになりたいんだ。
いち兄じゃなく、俺を見て欲しいって思っているんだ。
「も…もう…冗談はやめなさい…薬研がもっと大きくなってからね」