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刀剣純情伝 《刀剣乱舞/短編集/R18》

第4章 片恋をいつか 〔薬研藤四郎〕


「大将からの差し入れだ」

俺が先に部屋に入り、菓子を中央の茶卓に置くと、わぁっと弟たちが近寄ってきた。

「ごめんねぇ、こっちにもお菓子あるよ」

後から入ってきた大将も、盆を茶卓に置きながら言う。

「わぁい、美味しそう。いち兄の分は残したほうが良い?」

乱の質問に大将は答える。

「一期の分?こっちに別に用意してあるから、これを後で渡してくれる?この分はみんなで食べていいよ」

小さな紙袋を乱が受け取り、いち兄に渡す分を確認すると、みんなで「いただきます」とお菓子を食べ始めた。

大将はにこにこしながらみんなに麦茶を淹れてくれた。

「こぼさないように気を付けてね」

「大将が廊下で菓子をぶちまけるより気を付けると思うよ」

俺がさっきの様子を思い出してくくっと笑いながら言うと、大将は真っ赤になる。

「もう…薬研ったら意地悪なんだから…!」

そんな時の大将は可愛くてもっと意地悪したくなってしまうんだ。

「大将」

俺は麦茶を淹れ終わった大将に声を掛ける。

大将は頼まれてせんべいの袋を開けているところで、こちらを見ずに「なぁに?」と聞いてきたので俺は聞いた。
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