第1章 バレンタインの告白 〔へし切長谷部/R18〕
そんな事を考えていると、主が声を掛けてきた。
「ねぇ、長谷部、バレンタインって知ってる?」
そういえばさっきもバーチャルとやらのバレンタインの話しをしていたな。
「バレンタインですか?知ってますよ、前の主は男性でしたが、俺たちを大層可愛がってくれまして、バレンタインにチョコレートを配ってくれました」
「それって全員に?」
「勿論全員に同じものを配ってくれましたね」
俺の言葉に目の前の主は、ふぅと小さく息を吐いて言った。
「じゃあ長谷部は特別なチョコをもらった事は無いの?」
主が何を言いたいのかよくわからないが、特別なチョコというのはどういうものだろう?
「特別というのはどういうものでしょうか?」
主を抱き締めたまま聞いてみると、主は俺を抱き締めていた手を緩め、俺から少し離れて顔を見ながら言った。
「他の人と違うチョコ。誰からももらった事、ない?」
「そういうのは…特にありませんね」
俺は今迄の事を思い出して答えると、主はふわりと微笑んだ。
「じゃあ、私からのチョコレートは特別なものになるね」
「主、それは…」
俺がまさかと思って問うと、思った答えが主の口から出てきた。