第25章 愛して強くなる 〔蜂須賀虎徹/R18〕
「えっ…」
驚いた私は着替えの手を止めて、脱いだ服で着替え終えていない部分を隠した。
「あのっ…まだ、着替え…終えて…ない、のですが…」
一度部屋から出て欲しいと匂わせて言ったのだけど、蜂須賀さんは襖を閉めると私にそのまま近寄ってきた。
そしてずい、と顔を近付けると言った。
「今日の茄子は美味しかった?」
私は脱いだものでからだを隠しながら、何を聞かれたのか、と頭の中がぐるぐるしながらしどろもどろに答える。
「え…っと、はい…おいし、かった…です…あの…着替え…」
茄子の事を何故、今、聞かれるのかわからず、とにかく着替えているので早く出て欲しくて答えたのに、蜂須賀さんは何故か私に覆いかぶさるように着替え途中の私を抱き締めた。
「えっ…えっ…」
訳もわからず呆然とする私に、蜂須賀さんはいつもの穏やかな声とは違う、色気を含んだ声で囁く。
「修行に出る前に言っておきたかったんだ。貴女に特別な感情を持っているという事を」
「えっ…えっ…」
何を言われたのか頭が追い付かない。
「貴女は俺の事を笑う?刀剣というモノでありながら、ヒトへの恋情を持つ事を」
蜂須賀さんの言葉をようやく理解し、私は驚いて顔をあげ、私を見る蜂須賀さんの真剣な瞳を見つめた。