第25章 愛して強くなる 〔蜂須賀虎徹/R18〕
茄子の揚げ浸しがあんまり美味しいので、口に出る。
「その茄子は俺が今日、畑からもいできたものだよ」
すぐ近くに座る蜂須賀さんが言う。
「本当?こんな美味しい茄子をありがとう」
とろけるような茄子を味わいながら私が言うと、蜂須賀さんは満足気に、歌仙さんは両腕を組んでこちらを見る。
「素材も良いけど、調理の腕も褒めて欲しいものだね」
「あっ、歌仙さんが作ってくれたのね。とっても美味しいよ。出汁もよく沁み込んでるし」
急いで歌仙さんも褒めると、歌仙さんは『それで良い』といった体で頷きながら、他へ行ってしまった。
そうか、もいできたのは蜂須賀さんなんだ…その茄子がとっても愛おしくなって、ゆっくり味わいながら残りを口に入れた。
その私の様子を、蜂須賀さんが見ている事も知らずに。
宴会が終わって片付けを手伝い、自室へ引き上げ、寝間着に着替えていると、外から声がかかった。
「主、良いかな?」
この声は蜂須賀さんだ。
私は着替えながら急いで答える。
「ちょっと…今、着替えているので待ってください」
着替え終わるまで待ってくれるはずの蜂須賀さんが、でも、私の答えを聞いた途端、一瞬の間を置いて襖を開けた。