第24章 歪んだ愛は、それでも一途 〔へし切長谷部/R18〕
部屋に入ると、それでも俺と自分の分の茶を淹れてくれる主に、礼を言って茶をひとくち口に含む。
「…話しって何かな?」
湯呑を持って主は問う。
俺は湯呑を静かに置き、主の顔を見ながら聞いた。
「先日、急ぎで見ていただきたい書類が有り、お部屋を伺おうとしましたが、聞いた事のない主の声を聞きましてお伺い出来ませんでした」
しばらくぽかんとした後、何の事か察したらしい主は、さっと顔を赤くして更に問う。
「な…なん、のこと、かし、ら…それより…本題は…」
しどろもどろになる主が可愛く思えて、俺は主の側へ少しずつ膝をすすめる。
「失礼ですが、あの時の相手は誰ですか?」
俺の質問に叫ぶように主は言う。
「そっ…そんなの…言う、必要…ない、でしょ…う…」
慌てる主に俺は更に近寄り、自分の両手で主の両手を握る。
「いいえ、必要があるのです。何故なら俺も、主の夜伽の相手をしたいのです」
「…よと…っ…そ、それ…は…」
両手を握られ、顔を背ける主。
「あの相手は良くて、俺は駄目ですか?あの相手だけ特別で、俺はただ、この本丸で使われるだけの刀剣ですか?」
俺の言葉に主は困り切った表情を見せる。