• テキストサイズ

刀剣純情伝 《刀剣乱舞/短編集/R18》

第24章 歪んだ愛は、それでも一途 〔へし切長谷部/R18〕


台所の主と言っていい燭台切光忠が遠征部隊として出陣しており、その間歌仙兼定が奮闘しているため、せめて洗い物くらいは手伝わなきゃ、と主が自ら手伝っているのだ。

俺は主が手伝うなら、と申し出たのではなく、燭台切不在の今、歌仙の手伝いをもともとしていただけの事。

「私が勝手に手伝うなんて言ったから、長谷部さんまで手伝わせてしまってごめんなさいね」

柔らかい微笑みをこちらに向ける主だが、俺が最初から台所要員なのを気付いていないらしい。

だから俺はそこを突いた。

「いえ。主お一人に何でもさせるわけにはまいりませんから」

知らん振りして芝居をうった。



台所が片付け終わって、俺は主を部屋へ送る。

「ありがとう、おつかれさま。それじゃおやすみなさい」

部屋へ一人で入ろうとする主に、俺は襖に手を掛けて閉められないようにしつつ言った。

「…お話しがあるのですが、よろしいですか?」

「…急ぎかな?」

疑うような視線がこちらに向けられるが、俺は隠していた菓子を取り出し、主の前に差し出す。

「差し入れです」

主は好物の菓子を見て、目を輝かせる。

「ありがとう。話しは手早くしてね?」
/ 790ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp