第24章 歪んだ愛は、それでも一途 〔へし切長谷部/R18〕
台所の主と言っていい燭台切光忠が遠征部隊として出陣しており、その間歌仙兼定が奮闘しているため、せめて洗い物くらいは手伝わなきゃ、と主が自ら手伝っているのだ。
俺は主が手伝うなら、と申し出たのではなく、燭台切不在の今、歌仙の手伝いをもともとしていただけの事。
「私が勝手に手伝うなんて言ったから、長谷部さんまで手伝わせてしまってごめんなさいね」
柔らかい微笑みをこちらに向ける主だが、俺が最初から台所要員なのを気付いていないらしい。
だから俺はそこを突いた。
「いえ。主お一人に何でもさせるわけにはまいりませんから」
知らん振りして芝居をうった。
台所が片付け終わって、俺は主を部屋へ送る。
「ありがとう、おつかれさま。それじゃおやすみなさい」
部屋へ一人で入ろうとする主に、俺は襖に手を掛けて閉められないようにしつつ言った。
「…お話しがあるのですが、よろしいですか?」
「…急ぎかな?」
疑うような視線がこちらに向けられるが、俺は隠していた菓子を取り出し、主の前に差し出す。
「差し入れです」
主は好物の菓子を見て、目を輝かせる。
「ありがとう。話しは手早くしてね?」