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刀剣純情伝 《刀剣乱舞/短編集/R18》

第24章 歪んだ愛は、それでも一途 〔へし切長谷部/R18〕


ある夜、俺は急に主に用が出来、部屋へ赴いた。

しかし部屋から主の「あん…っ…」という聞いた事の無い甘い声。

しばらくその場に立ち尽くしていると、主の同様の声が絶え間なく聞こえる。

これは他の刀剣男士が主と夜伽中なのか、とようやく気付き、踵を返して自室へ戻る。



しかし、主に見てもらうはずの書類に再度目を通しても、聞いてしまった主の声ばかりが繰り返し頭の中に反響し、全く頭に入らず、むしろ、夜伽中の主はどんな姿なのか、どんな顔で喘ぐのか、どんな体勢で受け入れるのか、そんな事ばかり気になってしかたなかった。

それと同時に、主が抱かれるのを許す相手がいるのか、と気付き、ならば俺も抱けるのかと淡い期待を持つ。



でも、期待しても、主は俺を抱く事はないだろう。



俺に見せる視線は、常に他の刀剣男士へ向けるものと同じで冷ややか。



つまり誰にでも抱かれる主では無いという事だ。



それなら、何故。

主は今、俺に組み敷かれているのか。

どうして俺は主を抱けているのか。





「これで食器は全部片付けたよ」

棚へ拭いた食器を片付ける主に、俺は礼を言う。

「おつかれさまです、主。お手伝いいただきありがとうございます」

「ううん、これくらい良いよ。燭台切さんが遠征に行って、歌仙さんに負担がかかっちゃって、せめて洗い物くらいはしないとね。長谷部さんも一緒にありがとうございます」
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