第21章 愛と破壊 〔加州清光/R18〕
時の政府からは、何も件の刀剣について、発言はとうとう無かった。
そうだろう、だって、表だってそんな刀を隠しているなんて、時の政府は認めていないから。
「政府は壊された刀剣をまとめて完全に刀解しました。長義殿が教えてくださいました」
こんのすけが、俺たちの用意した特上の油揚げを受け取りに来た時に、折った刀たちがどうなったか教えてくれた。
「何も言わないって事が認めないって事だよね」
堀川が大きくため息をつきながら言い、風呂敷に包んだ大量の油揚げをこんのすけに渡す。
こんのすけは「ありがとうございます」と礼を言いながら受け取り、言った。
「政府の、審神者さまがたへのお詫びについては、そのまま知らん振りして対応するようです。こちらも長義殿が教えてくださいました」
「得体のしれない奴だと思っていたけれど、案外あいつは良い奴だったんだな」
和泉守が山姥切長義について、後頭部に腕を組んで回しながら言った。
「別れ際にまた、とか言っていたような気がするんだが、気のせいだったか…」
長曽祢さんが腕を組みながら言う。
「あのう、私めも皆が待っているので、早々に戻らせていただいてもよろしいでしょうか」
こんのすけが首を傾げながら言うので、安定が急いで言う。
「あぁ、ごめん、油揚げ渡せたからもう良いよ。今回はありがとう、助かったよ」
「おちからになれて良かったです。ではこの油揚げを皆が待ってますので、私は失礼します」
こんのすけは風呂敷を首に巻き付けると丁寧に俺たちに礼をし、ぽんと消えた。