第21章 愛と破壊 〔加州清光/R18〕
「清光、主の様子はどうなんだい?」
和泉守が俺に聞いてくる。
「うん、だいぶ落ち着いたからもう大丈夫だと思う」
「人間だし女人だから、俺たちではわからない部分もあるだろう。その辺おんな心とやらに清光は気遣いが出来るから、安心して任せられるな」
長曽祢さんがにやりとしながら言うのは、ただの気遣いだけを言っているのではないだろう。
「わかってる、俺が主を守る」
長曽祢さんの含みを持った笑みを見て、俺がはっきりと言うと、長曽祢さんは破顔した。
「それだけはっきり言うなら安心だな」
たぶん俺の発言から主も落ち着いてきて、俺たちの仲もうまくいっている事を理解したのだろう、さすが新選組隊長近藤勇さんの帯刀だった長曽祢さんだ、と俺は内心舌を巻く。
折られた刀剣は全て刀解され、今後は主たちに悪さをする事は完全に出来なくなった。
しかし、いつ、同様の事が政府によって隠された事実になるかわからない。
だから、俺はもっとちからをつけ、愛する主を守りたい。
今夜も雅の部屋へ足を運び、愛を囁き貫く。
でもそれだけでは駄目だ、俺も修行に出させてもらおう、と決意する。
まだレベルが達していないが、達したらすぐ志願して修行に出て、極めて主の許へ戻ろう。
強くなって愛する主を守り切れる刀剣になる、破壊されない刀剣になる。
主の部屋の前に立ち、部屋へ入る前に、俺はそこまで自分の今後を決めた。
<終>