第21章 愛と破壊 〔加州清光/R18〕
それはヒトの形を成しているものの、本来の姿が刀剣であるが故、刀が血にまみれている姿を彷彿させるからだろうか。
本体の部屋で順調に折っているからだろう、あちらこちらで本体を折られているようで、奴らが大声を上げながら消えていくのを目にして、俺たちは棒立ちになっていた。
「こりゃあすげぇところを見てしまっているな…」
長曽祢さんですらこんな場面は見た事ないらしく、しかし驚きながらも消えていく刀剣を見て片頬で笑っていた。
やがて長谷部の本体も折られたらしく、赤い目を更に赤く充血させて長谷部は叫んだ。
「俺は…っ…こんなところで…折られ、たくな、い…っ」
しかしからだの端から消えていき、長谷部も絶叫しつつ姿が見えなくなった。
「あちらにいると、こちらの状況はわからないのですよね…」
宗三がのたうちまわる刀剣の状況を見ながら言うと、江雪がほぅと大きく息を吐いて言う。
「この世は無常也…」
最後の一振りが折られて消えていくと、残った俺たちが立っているだけとなる。
「これで…全部折ったのかな…」
「この中を一通り見て回ろう」
数組に別れこの館の中をくまなく探すが、刀剣の姿は見当たらず全部折ったらしかった。
館の中を出て結界の割れの部分へ戻ると、石切丸と青江が待機していた。
「すごい叫び声が聞こえていたね」
石切丸が言うと、陸奥が答えた。