第21章 愛と破壊 〔加州清光/R18〕
「おいおい、何も無いじゃねぇか」
肥前が呆れたように言うが、朝尊が首を横に振る。
「いや、見えてないだけで、何かここにある」
「よくおわかりで。一見森に見えますが、実はここに別館が建っており、そこに問題の刀剣がたが隔離されてます。では管狐たち、結界を解除させましょう」
こんのすけが合図すると、ぽぽぽぽぽとたくさんの管狐がどこからともなく表れた。
「壮観だな」
数えきれない管狐が表れると、日本号がぼそりと言った。
管狐たちが霊気を発し出し、それが彼らの上で渦となり、針のように一見森に見える方向へ伸び、それが目に見えない何かを壊す錐のようにぎりぎりと回転しながら一点のみ攻撃し、やがてぱりぱりと音を立てひびが入った鏡のように攻撃したあたりから剥がれるように結界が落ち、人が一人通れそうな割れが出来た。
「われらのちからではここまでです」
割れが出来たところで管狐たちは霊力を送らず保持し出した。
「わかった、ありがとう」
俺が礼を言うとこんのすけが代表して言う。
「向こうの刀剣殿が逃げようとこちらに来る可能性も捨てられません。出来ましたら一振りか二振り…ここに残って見張りをしてください。私共が出来れば良いのですが、今の結界を破るためにちからを使ってしまいました」
「じゃあ私たちが残ろう」
石切丸と青江が残って見張りをしてくれる事になり、他のが順に結界の割れを通って中へ入って行った。