第21章 愛と破壊 〔加州清光/R18〕
夕餉が終わり寝支度をする頃、こんのすけが姿を見せた。
「こんな遅くまで悪かったな」
和泉守が声を掛けると、こんのすけはちょっと疲れた様子を見せながらも答える。
「他本丸の皆様、ご指定の日時に万屋に集まるとのお返事をいただきました」
「わかった、ありがとう、おつかれさま」
堀川がちょっと待って、と急いで厨へ走り、こっそり余っていた油揚げを包んで持ってきた。
「おお、油揚げ!」
こんのすけは目を輝かせる。
「特上ではないけれど、今日はよくがんばったこんのすけに御礼だよ」
「ありがとうございます…あの、これ、今いただいても良いでしょうか?」
こんのすけはおずおずと問い、俺たちはどうぞ、と頷く。
「いただきます」
嬉しそうな表情でこんのすけは油揚げを取りあげ、もぐもぐと食べ始めた。
「美味しいですぅ」
食べながら声をあげるこんのすけに、俺たちは何だかほんわかした気分に包まれた。
「良かったね」
そして食べ終えたこんのすけは「ごちそうさまでした」と満足げな表情を見せ、では、と俺たちの前から消え、その瞬間、俺たちの表情がぴしりと変わった。
「さて、俺たちも、間もなく本番だ」