第21章 愛と破壊 〔加州清光/R18〕
「…あんたが…?」
涼やかな面立ちのそのおとこに、俺たちは戦おうとしていた体勢を緩めると、その政府関係者である山姥切長義は俺たちの臨戦態勢の姿に顔をしかめたが、仕方ないといった体で俺たちに言った。
「その臨戦態勢を解除してくれ。俺はあんたたちと喧嘩をしに来た訳ではなく、その管狐が言うように今回の政府のやりかたが納得出来ず、ちからを貸すと言いに来た」
長曽祢さんが俺たちに目で合図をし、俺たちは体勢を解除しその場で座り直した。
山姥切長義と名乗った政府関係者は、失礼する、と言って部屋へ入り座ると言った。
「政府関係者が、審神者たちが襲われた事を全ての者が知っているか、と聞かれたらそうではない。一部で隠蔽している。襲った刀剣が、結界の中で過ごしているのは知っているが、それが暴れた事も情報としては何も残っていない。そんな事は起きていない事になっている」
それを聞いて安定が憤る。
「どういう事だよ、ここの主がどれだけ傷付いているのか…そうだろう、清光?」
安定の言葉に俺も頷く。
「少しからだに触れるだけで硬直させる程、心の傷は大きい。それなのに政府は俺たちにはやつらは刀解したと嘘をつき、審神者たちには報酬アップと資材の提供一年間で手を打とうとしている。そんな事くらいでヒトの心は癒せない。だからその刀剣たちの本体を折ってしまいたい」
長義は正座した綺麗な姿勢のまま、俺たちに言った。
「俺はここにしょっちゅう来る事は出来ない。だから、この、こんのすけを通して、互いの情報を交換しよう。俺が信じられないかもしれない。だから信じてもらうためにこれを持ってきた」
彼が取り出したのは持ち運びの出来るコンピュータだった。