第21章 愛と破壊 〔加州清光/R18〕
和泉守がこんのすけに顔を近付けて問うと、こんのすけは驚いて後ろにとびすさって言う。
「いえ、知っているのはごく一部というか二部というか、とにかく全員ではありません。ちからを貸してくれたのは、あの事を知りませんでしたが、審神者さまの事を知り、それはひどいとちからを貸してくれました。我々管狐もまさか全員が知っていると思っていたので、半分以上の政府関係者が知らずにいる事に驚きました」
「それでその関係者には、どうして知られたんだ?」
俺が今度は聞くと、こんのすけは神妙な表情で話し出す。
「ある管狐が、関係者以外出入りを禁止されている場所にこっそり入り込んだのです。ところがそういった場所には監視カメラが設置されています。その関係者が監視の担当業務に就いている時に、管狐が入り込んだのを気付かれ掴まり、その関係者に問い詰められ、本体を探している事とその理由を答えたところ、関係者は非常に驚き、管狐に『俺はそんな事が起きていたのは知らなかった。俺も審神者たちの事を考えたら、その対応は納得しかねる。その刀剣の本体の在処を俺は知っているから教えてやる』そう言ってくれたのです」
「でかしたな、こんのすけ」
俺が声を弾ませると、こんのすけは小さな胸を反らせる。
「しかし、その関係者は本当に真実を教えてくれるのか?嘘の情報を教えて、俺たちの復讐をさせまいと、邪魔をしてくるのは考えられないだろうか」
長曽祢さんが腕を組んで言う。
確かに政府関係者が、政府が不利になるような事を簡単に教えるだろうか、そう思っていたところ、急に襖がスパンと開いた。
「邪魔をする、俺は山姥切長義。あんたたちの話している、その政府関係者だ」
突然現れた見た事のない顔に、俺たちは座ったまま瞬時に動ける体勢をとるが、こんのすけがあわてて俺たちとその関係者の間に移動して言った。
「お待ちください、このかたが今回手伝ってくださる政府関係者です」