第21章 愛と破壊 〔加州清光/R18〕
俺は主の両手首を掴んで言った。
「主は何も聞いていない、知らない。それで良い。俺はしたい事をする。そんなに俺に何もさせたくないなら、今すぐ俺にからだを差し出してみなよ」
わざと今の主に出来ない事を言うと、やはり俺の言葉にからだをこわばらせた。
これで俺の好き勝手出来る、そう思っていたが、ヒトというのはどこまでおひとよしなのか、主はこともあろうに震える声で言った。
「今すぐ…加州くんと寝れば、加州くんは止めてくれるのね…?」
俺のする事は主を傷付けてしまうのか、どうして俺のやりたいようにさせてくれない?
「あぁ。でも無理でしょ?そんなに声を震わせ、全身を強張らせているんだから」
俺は主の様子を見て言うが、主は震えながらも言い返してきた。
「加州くんが…危ない事をするくらいなら…私が出来る事なら…何でもするよ…」
「…雅…」
主は俺を見上げて言う。
「ね、だから…お願い…貴方がたに何かあったら…私はそのほうが怖い」
しかし俺は主のその頼みには答えられない。
「やっぱり駄目だ。今回だけは雅の言う事はきけないし聞かない」
主は俺のきっぱりと答えた内容に息を呑み、しばらく無言だったものの、俺の顔を見てようやく口を開いた。
「…わかった…でも、絶対、絶対に…危ないと思ったら引き返してね」
俺の引かない姿勢に諦めたのか、主はようやく了解してくれ、主の肩をそっと抱いた。