第21章 愛と破壊 〔加州清光/R18〕
「小さな種から育って花が咲くんだもんね、すごいよね、自然って」
「…ああ…」
「…加州くん」
主はこちらを向き、俺の目をまっすぐに見る。
「ごめんね、私のせいで加州くんも嫌な思いをさせてしまって」
「何を言っている。俺の事はどうでも良い。俺たちは本体が折れてもまた顕現出来る。でも主はたった一人しかいない。主は自分の事だけを気にしていれば良いんだ」
俺の言葉に小さく笑う主は更に言う。
「あのね、私を心配して復讐とか考えないで。私は大丈夫。今すぐじゃないけれど、自分で乗り越えるから…それに自分たちは折れても顕現出来るなんて言っちゃだめ。私にとって皆さんは皆さんでしかない。勿論加州くんは貴方ひとりだからね」
自分を責める主に俺は掴みかかってしまう。
「何を言ってるんだ。俺は主たちをどうにかしたやつらが許せない。本体を折れないなら、顕現した厭わしい姿を殺すまで斬り刻んでやりたい。俺は決めた。主に最低な思いをさせたやつらを潰してやる、と。だから主は見て見ぬ振りをして欲しい」
俺の強い発言に主は驚く。
「加州くん…何を…するつもり…」
主の言葉に俺は片頬で笑う。
「何をって?主は気にしなくて良い。俺はしたい事をするだけだ」
今度は主が俺に掴みかかる。
「ねぇ、危ない事、するつもりじゃないよね?そんなの主として、許さないよ」