第21章 愛と破壊 〔加州清光/R18〕
「それと、聞くのを忘れていた。やつらの本体は、どこにあるのか知ってるか」
長曽祢さんがこんのすけに刀解するために本体の位置を聞くが、こんのすけは頭を左右に振った。
「そちらはまだ調べておりますが、わかっておりません。本体は刀剣の皆様にとって大切なものですから、政府も厳重に保管している事が多いのです」
「そうか…とにかく、まず、襲撃の手筈を整えるため、他の本丸の刀剣と話す機会を持とう。こんのすけ、万屋で会う日時の連絡を頼んだ」
俺が日時を書いた紙を念のためこんのすけに渡すと、こんのすけは斜めがけしているポシェットに仕舞う。
「それではこちらの連絡をして参ります。連絡したらまた伺います」
ポンと音がしてこんのすけは消えた。
「和泉守と堀川には俺が伝えておこう」
長曽祢さんに言われ、俺は頭を下げ部屋を出た。
廊下から見える庭の景色の先に、主が大きなつばのついた帽子をかぶって立っているのが見えた。
俺は突っかけを履くと、主の許へ小走りに近寄る。
「主、どうした?」
くるりと振り向いた主は、下を指さすと、粟田口の短刀たちの植えた種から芽が出てきていた。
「前田くんたちが植えていたの、ようやく芽が出てきたんだ。みんな、喜ぶね」
いくつもの小さい芽が出ているのを見ながら主は言う。