第21章 愛と破壊 〔加州清光/R18〕
刀剣だから見ないと思っていた、夢を、見た。
主が大勢の刀剣たちに襲われる夢。
着ているものを引きはがされ、手足を押さえつけられる。
主の顔はわからないものの、泣き叫んでいるところへ、刀剣が獰猛な表情で主の上にのしかかる。
あんな表情はそれこそ戦いの最中でも見た事がない。
その刀剣は、それほど汚らしい表情をしていた。
やはり他の刀剣も見た事が無い表情で主のからだに触れている。
やめろ、触るな、俺の主だ。
俺は叫ぶが、その声は届かない。
そして、唐突に気付いて目を開く。
見慣れた天井が見え、状況に気付き、俺は荒く息を吐いて自分の腕にいる主を抱き直す。
「ん…か、しゅ…くん…?」
少し動いたせいか、主が寝惚けて俺の名前を呼ぶ。
「大丈夫だよ…まだ早いからもう少し眠ろうか」
俺が声を掛けると「ん…」と声がし、寝息が腕の中でまた聞こえた。
先程の夢を思い出して、背中がぞくりとする。
あんな恐怖を受けたなら、今の状況になるのも納得出来るが…俺も正直触れたいと思う気持ちが止められない。