第21章 愛と破壊 〔加州清光/R18〕
その結界の中には、いわゆる駄目審神者によって荒くれにされた刀剣たちが収容されており、普段は一切外を知る事もなく、ただ収容されただけになっている。
ところがここのところ張っていた結界が揺らぎ、昨日結界が薄くなったところを彼等刀剣たちが破り外へ出て、女性審神者たちを襲ったという事だった。
「なんでその結界がそんな状態になっていたんだ?」
長曽祢が問い、こんのすけはそちらを見やって話しを続ける。
「能力者の能力低下のためです。政府にいる能力者たちが年をとり、しかしながら若い政府勤務者の中に能力者が少なく、なので昨日、健康診断が終わったところで女性審神者たちに依頼し、結界を全員のちからで張ってもらうつもりだったのです」
「…間に合わなかったって事か…」
「さようでございます。事態に気付き政府の者が部屋へ向かった時、外から入れないように刀剣たちによって反対に結界が張られ、それを破る事が出来なかったのも対応が遅れた原因のひとつです」
「あのさ、昨日のその女性審神者の中には、それなりに優秀なちからの持ち主も居たんだろう?そいつのちからで結界破れなかったのかねぇ」
和泉守の言葉に、こんのすけは顔を左右に振る。
「残念ながら、昨日いた審神者のかたがたは上級能力者では無いのです。多数の刀剣たちに対抗出来るちからをお持ちでありませんでした」
確かにこの本丸の主も霊力はそんなに強くはない。
以前いた審神者のほうが、よほど強いちからの持ち主だったとはっきりわかるほどだ。
「んで、そいつら、どうなったの?」
結界を破った、手の付けられない刀剣たちがどうなったか、それが一番知りたい情報だ。