第21章 愛と破壊 〔加州清光/R18〕
俺は抱き締めたまま、俺の胸に顔をつけて震えている主の、目の前に見える頭を見つめる。
「…今日は何もしない。このまま俺が抱き締めてるから眠ろう」
俺はちからを心持ちこめて抱き締め直すと、大きくため息をついた雅は小さく頷いて『ありがとう』と言ってきた。
俺は怖くもあった。
何かされているなら、主のからだに痕跡が残っているだろう。
それを目の前で見てしまったら、俺はきっと逆上して冷静さを無くし、主に何をするかわからない。
しばらく目をつむるだけで俺に抱き締められていた主は、いつの間にか落ち着いたのか、俺の腕の中で寝息をたてていた。
だが、怖いものの黙っている訳にはいかない。
だから俺は抱いていた主から腕を抜き、そっと主のパジャマの袖をめくり、そして、一瞬息を止める。
両の手首近くに、押さえつけられたらしいうっ血の痕が残っている。
これでは長袖を着るのは当然だろう。
息を呑みながら、俺はゆっくりパジャマのボタンをいくつか外す。
そして、胸元に俺以外の者が付けた赤い痕が、いくつもついているのも見てしまう。
俺はボタンをまた閉め、怒りに頭に血が昇るのを抑えながら、主を抱き締め一夜を過ごす。
怒りながらも、どうやって雅を襲ったやつらに復讐出来るか冷静に考えるが、一人では動けないと気付き、誰にも言わないでと主から言われていたが、彼等には手伝ってもらおうと考える。